2025/08/18
IP電話サービス
法人の固定電話は必要?IP電話・クラウドPBXとの違いを徹底比較
「そろそろ会社を設立しよう」「今の電話システム、ちょっと古くない?」
法人として事業を始める、または既存の電話環境を見直す際、多くの経営者や担当者が「そもそも、今の時代に固定電話は本当に必要なのか?」という問題に直面します。
この記事では、法人のコールセンターや営業電話の通信コスト見直しを専門とする株式会社ドリームソリューションが、その疑問に真正面からお答えします。従来型の固定電話が持つ価値を再評価しつつ、IP電話やクラウドPBXといった最新の選択肢までを徹底的に比較。コスト、機能、セキュリティなど、あらゆる角度から最適な電話環境を見つけるための「考え方」と「具体的な選び方」を解説します。
なぜ今「法人の固定電話は必要か」が問われるのか?
かつて、会社の電話といえばオフィスにある固定電話が当たり前でした。しかし、現代ではその常識が大きく揺らいでいます。
- 働き方の多様化: テレワークやリモートワークが普及し、オフィス以外の場所で働くことが増えました。
- コスト意識の高まり: より少ないコストで、より高いパフォーマンスを求める経営が一般的になりました。
- コミュニケーションツールの進化: メールやチャットツール(Slack、Teamsなど)が普及し、電話以外の連絡手段が増えました。
こうした背景から、「高価な工事をしてまで、オフィスに固定電話を置く必要があるのだろうか?」という疑問が生まれるのは、ごく自然なことなのです。
従来型固定電話のメリット・デメリット
最適な選択をするために、まずは判断の基準となる従来型固定電話のメリットとデメリットを改めて整理してみましょう。
メリット:社会的信用の高さ
- 信頼性の高い市外局番: 「03」や「06」などから始まる市外局番(0ABJ番号)は、登記された事業所の住所がなければ取得できません。そのため、Webサイトや名刺にこの番号が記載されているだけで、「しっかりした会社」という社会的信用につながります。
- 通話品質の安定性: 専用の電話回線を使うため、インターネット回線の状況に左右されず、通話品質が非常に安定しています。
デメリット:コストと場所の制約
- 導入・運用コスト: 電話回線を引くための工事費や、月々の基本料金、ビジネスフォン(主装置)の購入費など、コストがかさむ傾向があります。
- 場所の制約: オフィス内の決まった場所でしか電話に出られず、テレワークなどの柔軟な働き方に対応しにくいのが最大の課題です。
固定電話以外の選択肢とは?最新電話サービス徹底比較
固定電話のデメリットを解消する、新しい選択肢が登場しています。ここでは代表的な3つのサービスを比較解説します。
1. IP電話とは?
IP電話は、インターネット回線を利用して通話する電話サービスです。通話料を安く抑えられるのが大きな特徴です。
- 050番号IP電話: 「050」から始まる番号で、基本料金や通話料が安価です。ただし、信用の面では市外局番に劣り、110番などの緊急通報ができません。
- 0ABJ番号IP電話: 市外局番が使えるIP電話です。固定電話と同じように使え、社会的信用も維持できますが、050番号よりは料金が高めです。
2. クラウドPBXとは?
クラウドPBXは、これまでオフィスに設置していた「ビジネスフォンの主装置(PBX)」の機能を、インターネット上(クラウド)で提供するサービスです。
- 低コストでの導入: 高価な主装置の購入や大規模な工事が不要なため、初期費用を大幅に抑えられます。
- 場所を選ばない: 従業員のスマートフォンにアプリを入れるだけで、会社の代表番号での発着信が可能になります。テレワークに最適なシステムです。
- 豊富な機能: 通話録音や自動音声案内(IVR)、顧客情報連携(CRM連携)など、ビジネスを効率化する多くの機能を低コストで利用できます。
3. ビジネスフォンとは?
ビジネスフォンは、複数の外線と内線を共有できる、オフィス向けの多機能電話システムです。主装置(PBX)を社内に設置する「従来型の電話システム」の中核を担います。クラウドPBXは、この主装置をクラウド化したものと考えると、両者の関係が分かりやすいでしょう。
【実践】自社に最適な電話環境を選ぶ3つのポイント
では、具体的に自社にはどの選択肢が合っているのでしょうか。3つのポイントで見ていきましょう。
ポイント1:業種・事業規模で選ぶ
会社の状況によって、最適な電話環境は異なります。ここでは具体的なモデルケースをご紹介します。
モデルケース1:従業員5名のITスタートアップ
- おすすめ: クラウドPBX
- 理由: 初期費用を極力抑えたいフェーズであり、今後の人員増にも柔軟に対応できる拡張性が必要です。また、場所を選ばないため、リモート中心の働き方にも完全にマッチします。
モデルケース2:30名の多拠点小売業(本社+3店舗)
- おすすめ: クラウドPBX
- 理由: 本社と各店舗、さらには外出中の営業担当者のスマートフォンまで、すべてを無料で内線化できます。これにより、拠点間のシームレスな連携と通信コストの大幅な削減を両立できます。
モデルケース3:セキュリティと信用を重視する士業事務所
- おすすめ: 固定電話(0ABJ番号のIP電話)+小規模なクラウドPBX
- 理由: 顧客からの信頼が第一であるため、市外局番は必須です。安定した通話品質を持つIP電話で番号を維持しつつ、弁護士や税理士の外出時対応のために、クラウドPBXでスマートフォン連携を行うハイブリッドな構成が有効です。
ポイント2:コストで比較する
コストは重要な選定基準です。以下の比較表で、全体像を把握しましょう。
【コスト比較表】
項目 | 固定電話 | IP電話(050) | クラウドPBX | ビジネスフォン |
初期費用 | やや高め | 安価 | 安価 | 高額 |
月額料金 | やや高め | 安価 | 中程度 | やや高め |
通話料金 | 距離による | 安価 | プランによる | 内線無料 |
柔軟性 | 低い | 高い | 非常に高い | 低い |
ポイント3:セキュリティとBCPで判断する
電話は企業の重要なインフラです。セキュリティと、万一の際の事業継続性も考慮しましょう。
- セキュリティ: クラウドサービスを利用する場合は、通信の暗号化や不正アクセス防止機能など、ベンダーが提供するセキュリティ対策を必ず確認しましょう。
- BCP(事業継続計画): 地震や台風などの災害でオフィスが出社不能になっても、クラウドPBXなら従業員のスマートフォンで電話業務を継続できます。これは従来型の固定電話にはない大きなメリットです。
【導入事例】専門家のコンサルティングによる電話環境の改善例
「法人に固定電話は必要か?」という問いに、もはや唯一の正解はありません。
この記事で解説したポイントをまとめます。
ここでは、専門家のコンサルティングによって電話環境を抜本的に見直し、コスト削減や業務効率化に成功した企業の事例をいくつかご紹介します。特にコールセンターや営業部門を持つ企業様はぜひご覧ください。
事例1:【効率化】PCが苦手な職場でも、CTI導入で架電数が133%アップ!
お客様:法人向け商材(QR決済端末/OA機器など)の販売代理店 B社様
- 抱えていた課題
- 電話機から1件ずつ手で発信しており、非常に効率が悪かった。
- PC操作に不慣れな従業員が多く、コールシステムの導入に踏み切れずにいた。
- 1日のコール件数や見込み客の管理がしきれず、紙のリスト準備も手間だった。
- ドリームソリューションからのご提案 全席を一度にシステム化するのではなく、まずはお試し期間を設けて一部の従業員からPC操作に慣れてもらう段階的な導入をご提案しました。 システム利用料は無料で、直接訪問して操作説明も実施することで、システム導入への心理的なハードルを下げました。 同時に、長年の実績から自信のある通話単価の削減も行いました。
- 導入後の効果
- 架電数が133%向上: 1人1日あたりのコール数が150件から200件に増加し、チーム全体の月間架電数は99,000コールから132,000コールへと大幅にアップしました。
- コスト単価を約25%削減: 月々の通信費約30万円は変わらないまま、1コールあたりの単価を3.03円から2.27円へと下げることに成功しました。
- 従業員のモチベーション向上: 自身の成績がリアルタイムで可視化されるようになり、従業員のモチベーション向上にも繋がりました。 テレワークにも対応でき、働き方の幅も広がりました。
- お客様の声 「架電数は大幅にアップして売上も大きくなったのに、通信費は高くなることなく、一石二鳥で満足しています。関連会社の電話環境についても、ぜひコンサルティングをお願いしたいです。」
事例2:【コスト削減】「ガチャ切り」対策の秒課金で、年間1,000万円近いコスト削減を実現
お客様:営業代行・人材派遣事業 W社様
- 抱えていた課題
- BtoC営業では、通話の8割以上が数秒で切られる「ガチャ切り」だった。
- にもかかわらず、契約プランが「3分課金」だったため、数秒の通話でも3分間の料金が発生し、無駄なコストが膨らんでいた。
- 人材派遣事業では携帯電話への発信が多く、1分課金でコール単価が高くなっていた。
- ドリームソリューションからのご提案 アウトバウンド業務の性質に着目し、数秒の通話でも無駄にならない「1秒課金」プランへの切り替えをご提案しました。 また、請求書を精査する中で発覚した、利用していない多数の電話番号の整理も同時に行いました。
- 導入後の効果
- 繁忙期の通話料を約45%削減: 繁忙月には180万円かかっていた通話料が99万円まで削減されました。
- 年間で1,000万円近いコスト削減を達成: 年間を通じて、1,000万円近い大幅なコスト削減を見込むことができました。
- 不要な固定費を整理: 利用していなかった電話番号を解約し、毎月数千円の無駄なコストを省くことができました。
- お客様の声 「試算通りの結果になり、年間で1,000万近く削減できたのでとても満足しています。うまく引き継ぎできていなかった不要な電話番号も、この機会に整理できて助かりました。」
事例3:【トータルサポート】通信費削減に加え、煩雑なオフィス移転も丸投げで解決
お客様:インターネット回線の電話販売取次代理店 V社様
- 抱えていた課題
- 営業ターゲットが固定電話から携帯電話向けに変わり、通話料金が高騰していた。
- 事業拡大に伴いオフィスの拡張移転を検討していたが、電話やネット回線のインフラ周りに詳しい人材がおらず、対応に困っていた。
- ドリームソリューションからのご提案 まず通話明細を分析し、携帯電話向けに特化した「1秒課金」プランで通信費を大幅に削減。 さらに、移転に伴う複数業者との煩雑なやり取り(電話回線、ネット回線、ビジネスフォン、複合機、中古PC手配など)をすべて代行し、インフラ周りをトータルでサポートさせていただきました。
- 導入後の効果
- 年間228万円のコスト削減を実現:
- 携帯向け発信が中心の通話料が、月額平均36万円から22万円に削減(年間192万円の削減)。
- 0120番号の着信料金も、月額9万円から6万円に削減(年間36万円の削減)。
- スムーズなオフィス移転: 専門知識が必要なインフラ周りの手配をすべて任せることで、お客様はコア業務に集中したまま、スムーズな移転を完了できます。
- 年間228万円のコスト削減を実現:
- お客様の声 「携帯向けの料金を大幅に下げることができ大変満足です。インフラ周りに専任者がいなかったので、移転を丸投げでスムーズに対応いただけたのは本当に助かりました。」
まとめ:自社に最適な電話環境でビジネスを加速させよう
「法人に固定電話は必要か?」という問いに、もはや唯一の正解はありません。
この記事で解説したポイントをまとめます。
- 社会的信用を重視し、安定した品質を求めるなら、従来型の固定電話(IP電話含む)は依然として強力な選択肢です。
- コストを抑え、場所にとらわれない柔軟な働き方を実現したいなら、クラウドPBXが最適なソリューションとなります。
- 自社の事業規模、業種、将来のビジョンに合わせて、各サービスの特徴を比較検討することが成功の鍵です。
最適な電話環境は、単なるコスト削減に留まらず、業務効率や顧客満足度を向上させ、ビジネスそのものを加速させる力を持っています。この記事が、貴社にとって最良の選択をするための一助となれば幸いです。
もし、「自社の場合、どの選択肢が一番コストメリットがあるのか具体的に知りたい」「コールセンターや営業部門の通話料を抜本的に見直したい」とお考えでしたら、ぜひ一度、私たち株式会社ドリームソリューションにご相談ください。