電話営業は、潜在顧客へのアプローチとして非常に効果的な手段の一つですが、同時に相手の都合を考えたタイミングでの実施が求められる繊細な営業手法でもあります。

営業担当者の中には、「朝早くから夜遅くまで電話をかければ、いつかは担当者とつながるだろう」と考える人もいるかもしれません。しかし、相手の業務を妨げるような時間帯の電話は、逆効果になることも多いのです。

また、電話営業には法律で定められた時間的な制限もあり、時間帯を間違えると法的なトラブルに発展するリスクもあります。

そこで本記事では、電話営業を行う上で最適な時間帯や、避けるべき時間帯について解説します。

加えて、企業や個人宅への電話営業のコツ、テレアポに効果的な曜日・時間帯なども紹介します。

これから電話営業を始める方も、すでに実践している方も、ぜひ参考にしてみてください。

電話営業の適切な時間帯は？マナーや法律面での注意点

電話営業を行う際、適切な時間帯を選ぶことが非常に重要です。相手の都合に合わせ、効率的に営業を進めるためには、時間帯選びにもコツがあります。

ここでは、電話営業に最適な時間帯と避けるべき時間帯について、法人と個人に分けて解説します。

電話営業に最適な時間帯の原則

電話営業に最適な時間帯は、相手が法人か個人かによって異なります。

法人向けの電話営業では、午前中の早い時間帯や午後の遅い時間帯が効果的です。

特に、午前10時から12時、午後2時から4時の時間帯は、企業の担当者が比較的落ち着いていることが多いため、電話がつながりやすくなります。

また、業種によっては午後の方が忙しい場合もあるため、相手の業務時間を事前に確認することが重要です。

個人宅への電話営業では、平日の夕方から夜の時間帯が最適です。

具体的には、午後6時から9時の間が効果的です。この時間帯は、多くの人が仕事から帰宅し、リラックスしている時間帯であり、電話に出やすい傾向があります。

ただし、遅すぎる時間帯は避けるようにしましょう。

20時以降は、相手の私生活を侵害する可能性があり、マナー違反になりかねません。

また、土日や祝日の午後も有効な時間帯として考えられます。

電話営業を避けるべき時間帯

一方で、電話営業を避けるべき時間帯もあります。

企業への電話営業では、始業直後や終業直前の時間帯は避けるべきです。

始業直後は、担当者がその日のスケジュールを確認したり、メールをチェックしたりする時間であり、忙しくしています。同様に、終業直前の時間帯も、業務の締め作業に追われているため、電話に応対する余裕がありません。

これらの時間帯は、相手にとって迷惑になりかねないため、避けるようにしましょう。

昼休み中も電話営業には不適切な時間帯です。多くの人が昼休みを利用してリフレッシュし、食事を取るため、この時間に営業電話をかけると、相手に不快な印象を与えてしまいます。

法人営業の場合、昼休みは通常12時から1時までの間ですが、企業によって異なることもあるため、事前に確認しておくことが望ましいです。

電話営業が違法となる時間帯

電話営業を行う際、適切な時間帯を選ぶことは、マナーの面だけでなく法律の面でも重要です。

特定の時間帯に電話営業を行うことが、法律で規制されているケースがあるからです。

ここでは、電話営業に適用される法律と規制、および違法となる具体的な時間帯について解説します。

適用される法律と規制

電話営業に適用される主な法律は、「特定商取引に関する法律（特定商取引法）」です。

この法律は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的としています。

特定商取引法では、「電話勧誘販売」を規制対象の一つとしています。

電話勧誘販売とは、事業者が電話で消費者に商品やサービスを勧誘し、申込みを受ける取引形態を指します。

この電話勧誘販売に関して、特定商取引法は事業者に対し、一定のルールを定めています。

違法となる具体的な時間帯

電話営業が違法となる具体的な時間帯については、特定商取引法において明確に規定されています。例えば、夜間の時間帯に電話勧誘を行うことは基本的に禁止されています。

令和4年に出された法律に関する通達「特定商取引に関する法律等の施行」では以下のように書かれています。

「迷惑を覚えさせるような仕方」とは、客観的にみて相手方が迷惑を覚えるような言動で あればよく、実際に相手方が迷惑と感じることは必要ではない。具体的には、正当な理由な く不適当な時間帯に（例えば午後９時から午前８時まで等）勧誘をすること、長時間にわた り勧誘をすること、執ように何度も勧誘をすること等はこれに該当することが多いと考えら れる。

引用元：特定商取引に関する法律等の施行について

午後9時以降の電話営業は避けるべきとされています。これは、消費者がプライベートな時間を確保するための措置です。また、早朝や深夜の時間帯も同様に、消費者にとって迷惑となるため、避ける必要があります。

具体的には、午前8時以前や午後9時以降の電話営業は、消費者に対する配慮として避けるべきです。

事業者がこの規制に違反し、禁止時間帯に電話勧誘販売を行った場合、業務改善命令や業務停止命令、さらには罰則の対象となる可能性があります。

企業や個人宅への電話営業の最適なタイミングを探る方法

電話営業を成功させるには、適切な時間帯を選ぶだけでなく、相手の状況を考慮したアプローチが必要不可欠です。

ここでは、企業や個人宅への電話営業を行う際に、最適なタイミングを探る方法について解説します。

企業の業種や個人の生活パターンを考慮する

電話営業の最適なタイミングを探る第一歩は、相手の業種や生活パターンを理解することです。

企業の場合、業種によって繁忙期や閑散期が異なります。例えば、小売業では年末年始や季節の変わり目が繁忙期となり、この時期の電話営業は避けた方が賢明です。一方、建設業では冬季が閑散期となるケースが多いため、この時期なら比較的つながりやすいかもしれません。

個人宅の場合は、相手の生活パターンを想像することが大切です。平日の日中は仕事で不在の可能性が高く、夕方以降や休日の方が在宅率は上がります。ただし、食事の時間や就寝時間は避けるのがマナーですね。

このように、相手の業種や生活パターンを考慮することで、電話営業の最適なタイミングを絞り込むことができます。

1日のうち忙しい時間帯を避ける

企業の場合、朝礼や終礼の時間、昼休みの時間は、電話に出られない可能性が高いです。

また、月曜の午前中は1週間の業務の立ち上げで忙しく、金曜の夕方は週末を控えて仕事を片付けたい心理が働くため、電話営業には不向きな時間帯と言えます。

個人宅の場合、平日の朝は家事や通勤の準備で忙しく、夜は家族との団らんの時間となるため、電話営業は控えめにすべきでしょう。

相手の忙しい時間帯を避ける配慮を示すことで、電話営業に対する印象も良くなります。

相手の都合を尊重しながら、効率的に営業活動を行いましょう。

担当者につながりやすい時間帯を質問する

担当者につながりやすい時間帯を事前に質問することも有効な方法です。

初回の電話で担当者につながらなかった場合、その際に「いつ頃お電話差し上げればよろしいでしょうか？」と尋ねることで、相手の都合の良い時間帯を把握できます。

相手が具体的な時間帯を指定してくれれば、その時間に再度電話をかければスムーズにつながる可能性が高まります。

また、アポイントを取る際も、「ご都合のよい曜日や時間帯はございますでしょうか？」と尋ねることで、相手の事情を考慮した提案ができます。

相手の立場に立って考え、最適なタイミングを探ることが、電話営業の成功率を大きく左右するのです。

電話営業の時間帯以外で押さえるべき重要なポイント

電話営業を成功させるには、適切な時間帯を選ぶことも重要ですが、それだけでは十分とは言えません。

ここでは、時間帯以外に電話営業で押さえるべき重要なポイントを4つ紹介します。

• 社名と名前を名乗り、適切な相手と話す
• 用件を簡潔に伝え、相手の都合を優先する
• 聞き取りやすい話し方を心がける
• 電話以外のアプローチ方法も検討する

社名と名前を名乗り、適切な相手と話す

電話営業を開始する際には、まず最初に自分の名前と会社名を明確に名乗ることが重要です。

これにより、相手は誰からの電話であるかをすぐに認識できます。

また、適切な担当者につながるために、事前に相手の組織構造や担当者を確認しておくと効果的です。

例えば、「お忙しいところ失礼します。私は〇〇会社の△△と申しますが、〇〇部のご担当者様はいらっしゃいますでしょうか？」と尋ねることで、スムーズに話を進めることができます。

用件を簡潔に伝え、相手の都合を優先する

電話営業では、用件を簡潔に伝えることが重要です。相手は忙しく、長々と説明されると嫌気が差してしまうかもしれません。

要点をまとめ、短時間で伝えられるようにしておきましょう。

例えば、「本日は新しいサービスのご案内でお電話しました。〇〇の導入により、御社の△△が改善されることが期待できます」といった具合です。

また、相手の都合を優先し、「今お時間よろしいでしょうか？」と尋ねることで、相手に配慮した営業を行うことができます。

タイミングが悪そうなら、改めて連絡する旨を伝え、無理強いはしないようにしましょう。

聞き取りやすい話し方を心がける

電話では、声のトーンや話すスピードが非常に重要です。

相手にとって聞き取りやすい話し方を心がけましょう。

ゆっくりとした明瞭な発音を意識し、相手の反応を見ながら適切なペースで話すことがポイントです。

また、相手が不明点を感じた場合にはすぐに質問できるよう、間を取りながら話すと良いでしょう。

これにより、相手が話を理解しやすくなり、円滑なコミュニケーションが図れます。

電話以外のアプローチ方法も検討する

電話営業だけでなく、他のアプローチ方法も併用することで、効果を高めることができます。

例えば、メールやビジネスチャットを活用することで、相手に対して情報を提供しやすくなります。

事前にメールで資料を送付し、その後に電話でフォローアップする方法も効果的です。

また、対面での訪問やオンラインミーティングを組み合わせることで、より深い信頼関係を築くことができます。

電話営業に関するよくある質問

電話営業を実践する中で、多くの営業担当者が疑問や悩みを抱えています。

ここでは、電話営業に関する3つの質問について、それぞれ回答していきます。

• 電話営業で顧客からよく言われる断り文句にはどのようなものがありますか？
• 電話営業で法人の担当者とつながる確率を高めるコツを教えてください。
• 電話営業における話し方のポイントを教えてください。

電話営業で顧客からよく言われる断り文句にはどのようなものがありますか？ 

電話営業で顧客からよく言われる断り文句には、以下のようなものがあります。

• 「今は忙しいので、後で掛け直してください」
• 「興味がないので、電話しないでください」
• 「決定権がないので、話を聞くことができません」

このような断りを受けた際は、まず相手の気持ちを受け止め、立場を理解することが大切です。

その上で、以下のように対応しましょう。

• 後で掛け直す場合は、具体的な日時を提案する 
• 興味がない場合は、メリットを簡潔に伝え、再考を促す 
• 決定権がない場合は、決定権者への取り次ぎを依頼する

ポイントは、相手の反応に柔軟に対応しつつ、粘り強くアプローチを続けることです。

ただし、しつこすぎる勧誘は逆効果なので、加減が必要です。

電話営業で法人の担当者とつながる確率を高めるコツを教えてください。

電話営業で法人の担当者とつながる確率を高めるコツは、以下の通りです。

• 事前にリサーチを行い、担当者の名前や部署を把握する 
• 会社の代表番号ではなく、直接の部署に電話をかける 
• 電話をかける時間帯を工夫する（朝一番や昼休み直後がおすすめ） 
• 担当者不在の場合は、用件を具体的に伝え、折り返しの連絡を依頼する

事前準備を怠らず、戦略的に電話をかけることが、担当者とつながる確率を高めるカギになります。

電話営業における話し方のポイントを教えてください。

電話営業で好印象を与える話し方のポイントは、以下の通りです。

• 明るく元気な声で話す 
• ゆっくりとはっきりと発音する 
• 相手の反応を確認しながら、テンポよく話を進める 
• 専門用語は避け、分かりやすい言葉で説明する 
• 一方的に話すのではなく、相手の意見にも耳を傾ける

声のトーンや話すスピード、言葉選びに気を配ることで、相手に与える印象は大きく変わります。 

また「聞き上手」であることも大切なポイントです。

電話営業は、直接顔を合わせずにコミュニケーションを取る難しさがありますが、工夫次第で成約率を上げることができます。

まとめ

電話営業の成功は、適切な時間帯を選ぶことから始まります。

法人営業では午前中や夕方、個人営業では夕方以降が効果的です。

また、始業直後や終業直前、昼休み中は避け、法律や規制を遵守し、違法な時間帯に電話をかけないように注意しましょう。

電話営業の際には、社名と名前を名乗り、用件を簡潔に伝えること、そして相手の都合を優先することを心がけましょう。

聞き取りやすい話し方をすることで、相手に良い印象を与えることができます。

また、電話以外にもメールやビジネスチャットを併用し、相手のニーズに合わせたコミュニケーションを図り効果的な営業活動を行いましょう。

これらのポイントを押さえることで、電話営業の成功率を高めることができます。適切な時間帯を選び、マナーや法律を守りながら、効果的な営業活動を行ってください。