IP電話の仕組みとは?アナログ・ISDN回線との違いからコスト削減のメリットまで解説 - 法人の通信費削減・電話料金の見直しの相談は株式会社ドリームソリューションにお任せ

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IP電話の仕組みとは?アナログ・ISDN回線との違いからコスト削減のメリットまで解説

IP電話とは?基本の仕組みを理解する

IP電話は、インターネット回線を利用して音声通話を行う電話システムです。従来の電話が専用の電話回線を使用していたのに対し、IP電話は私たちが普段インターネットを利用するのと同じ回線を使って通話を実現します。この仕組みを理解することが、IP電話の導入を検討する上で非常に重要です。

音声データのデジタル化:アナログからデジタルへ

IP電話がインターネット回線で通話を行うためには、まず私たちの声というアナログ信号をデジタルデータに変換する必要があります。人間の声は波のような形をしたアナログ信号ですが、コンピューターは0と1のデジタルデータしか扱えません。

そこで、IP電話では「コーデック」と呼ばれる技術を使って、アナログの音声信号をデジタルデータに変換し、さらに圧縮します。このデジタル化と圧縮により、インターネット回線で効率的に音声データを送受信できるようになるのです。

パケット化とインターネット

デジタル化された音声データは、そのままの大きな塊ではインターネット上をスムーズに移動できません。そこで、データは小さな「パケット」と呼ばれる単位に分割されます。例えるなら、大きな手紙を小さな複数のハガキに分けて送るようなものです。

これらのパケットには、送り先の情報や順番を示す情報が付加され、インターネットという広大なネットワーク上をそれぞれ最適なルートで飛び交います。そして、相手の電話に到達すると、バラバラだったパケットが再び元の音声データに組み立てられ、アナログ信号に戻されて相手の耳に届くのです。

VoIP(Voice over Internet Protocol)とは

IP電話の根幹をなす技術が「VoIP(Voice over Internet Protocol)」です。これは「インターネットプロトコル上で音声を送る」という意味で、音声データをデジタル化し、パケットに分割してインターネット回線を通じて送受信するための一連の技術や規格の総称を指します。

VoIP技術があるからこそ、私たちはインターネットに接続されたパソコンやスマートフォン、専用のIP電話機を使って、世界中のどこへでも電話をかけることが可能になるのです。従来の電話回線に依存しないため、通話コストの削減や柔軟な運用が実現します。

SIP(Session Initiation Protocol)の役割

VoIPを実現する上で欠かせないプロトコルの一つが「SIP(Session Initiation Protocol)」です。SIPは、IP電話における通話の「セッション管理」を行うための信号プロトコルであり、通話の開始、変更、終了といった一連の流れを制御する役割を担っています。

具体的には、電話をかける際に相手のIP電話を呼び出す、通話が始まったことを知らせる、通話中の設定変更(保留や転送など)、そして通話が終了したことを通知するといった一連のコミュニケーションをSIPが行います。SIPがあることで、異なるメーカーのIP電話機器同士でもスムーズに接続し、通話ができるようになっているのです。

従来の電話回線との違い

IP電話の導入を検討する上で、最も気になるのが「従来の電話回線と何が違うのか?」という点でしょう。ここでは、IP電話とアナログ回線やISDN回線といった従来の電話システムを、様々な角度から比較し、それぞれの特徴を明確にしていきます。

項目IP電話従来の電話回線 (アナログ/ISDN)
音声伝送方法インターネット回線専用の電話回線(メタルケーブル)
音声データの形式デジタルデータ(パケット化)アナログ信号(アナログ回線)、デジタル信号(ISDN回線)
回線費用インターネット回線費用に集約。通話料は距離に関わらず定額または無料の場合が多い基本料金に加え、通話距離や時間に応じた通話料
通話品質インターネット回線の品質に左右される。安定した環境では高品質。専用回線のため安定しているが、ノイズが発生することもある。
付加機能Web会議連携、CRM連携、スマートフォン連携、保留転送、IVRなど多機能発信者番号表示、転送、留守番電話など限定的
導入の容易さ既存のインターネット回線を利用。設置工事が不要な場合が多い。専用回線の引き込み工事が必要。移転時も工事が必要。
拡張性柔軟な回線増設・削減が可能回線増設には工事が必要で、時間と費用がかかる。

音声伝送方法の違い

IP電話と従来の電話回線における最も根本的な違いは、音声データの伝送方法にあります。IP電話は、音声をデジタルデータに変換し、インターネット回線を通じて送受信します。一方、従来の電話回線(アナログ回線)は、音声を電気信号(アナログ信号)として専用の電話線で伝送します。ISDN回線はデジタル信号ですが、こちらも専用のデジタル回線を使用します。この違いが、後述する費用や機能、通話品質など、あらゆる側面に影響を与えます。

回線費用の比較

IP電話と従来の電話回線では、回線費用と通話料金の体系が大きく異なります。IP電話の場合、既存のインターネット回線を利用するため、新たに専用の電話回線を引く費用は不要です。通話料も、同一プロバイダ間やIP電話サービスによっては無料になるケースが多く、遠距離通話も距離に関わらず定額料金や、全国一律料金で利用できるため、大幅なコスト削減が期待できます。従来の電話回線は、月額の基本料金に加え、通話距離や時間に応じた従量課金が一般的です。

通話品質の違い

通話品質に関して、IP電話はインターネット回線の状況に大きく左右されます。安定した高速回線環境であればクリアな音声で通話が可能ですが、回線が混雑したり不安定になったりすると、遅延や音途切れ、ノイズが発生する可能性があります。一方、従来の電話回線は専用の回線を使用するため、インターネットの混雑状況に影響されず、一般的には安定した通話品質が保たれます。しかし、アナログ回線では物理的なノイズが乗る可能性もあります。

付加機能の比較

IP電話は、インターネットを基盤としているため、従来の電話回線では実現が難しかった多様な付加機能を提供します。例えば、Web会議システムや顧客管理システム(CRM)との連携、スマートフォンを内線として利用できる機能、自動音声応答(IVR)、通話録音、着信履歴の一元管理などが挙げられます。従来の電話回線でも、発信者番号表示や転送、留守番電話といった基本的な機能は利用できますが、IP電話の持つ拡張性や柔軟性には及びません。

導入の容易さ

導入の容易さにおいても、両者には明確な違いがあります。IP電話は、既存のインターネット回線を利用するため、大掛かりな配線工事が不要なケースが多く、比較的短期間で導入できます。また、オフィス移転の際も、インターネット環境があれば電話番号を変えずに利用できるため、手間がかかりません。従来の電話回線の場合、専用回線の引き込み工事が必要となるため、導入までにある程度の時間と費用を要します。移転時も、新しい場所で再度工事が必要となることが一般的です。

IP電話の種類と仕組み

IP電話は、その利用形態によっていくつかの種類に分けられます。ここでは、主なIP電話の種類とその仕組みについて解説します。自身のビジネス環境やニーズに合わせて最適なタイプを選択できるよう、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

ソフトフォンの仕組み

ソフトフォンとは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスに専用のソフトウェアをインストールして利用するIP電話のことです。物理的な電話機は不要で、ヘッドセットなどを接続するだけで通話が可能です。

仕組みとしては、デバイスにインストールされたソフトウェアがVoIP(Voice over Internet Protocol)クライアントとして機能します。このソフトウェアがマイクから入力された音声をデジタルデータに変換し、パケット化してインターネット経由で送受信します。受信したパケットは再び音声データに変換され、スピーカーから出力されます。

ソフトフォンの最大のメリットは、場所を選ばずに利用できる点です。インターネット環境さえあれば、オフィスだけでなく外出先や自宅からでも会社の内線電話として機能させることができ、リモートワークやテレワーク環境において非常に有効なツールとなります。

IP電話対応ルーターの仕組み

IP電話対応ルーターは、既存のアナログ電話機をIP電話として利用するための機器です。このルーターには、アナログ電話機を接続するためのポート(RJ11など)と、インターネット回線を接続するためのポート(Ethernet)が備わっています。

仕組みとしては、アナログ電話機から送られてくるアナログ音声信号を、ルーター内部でデジタルデータに変換し、さらにVoIPプロトコルに基づいてパケット化します。このパケットはインターネット経由で相手に送られ、相手側のIP電話対応ルーターやIP電話端末で再びアナログ音声に変換されて通話が成立します。

このタイプのIP電話は、既存のアナログ電話機をそのまま活用できるため、導入コストを抑えやすいというメリットがあります。主に家庭や小規模オフィスで、手軽にIP電話を導入したい場合に利用されます。

クラウドPBXの仕組み

クラウドPBX(Private Branch eXchange)は、従来の物理的なPBX(構内交換機)の機能をクラウド上で提供するサービスです。PBXとは、複数の電話機を接続し、内線通話や外線との接続、転送などの電話交換機能を提供する装置のことです。

クラウドPBXでは、このPBX機能がインターネット上のデータセンターに設置されたサーバーで提供されます。利用者は、自社のオフィスに物理的なPBXを設置する必要がなく、インターネット回線を通じてクラウド上のPBXに接続します。

仕組みとしては、各IP電話端末(IP電話機、ソフトフォンなど)がインターネット経由でクラウドPBXに登録され、通話の確立やルーティング、転送などの処理がクラウド上で行われます。

クラウドPBXの最大のメリットは、初期費用を大幅に削減できる点と、運用・保守の手間がかからない点です。また、回線の増減や機能の追加が容易で、拠点が増えても柔軟に対応できる拡張性の高さも魅力です。場所を選ばずに利用できるため、多拠点展開している企業や、将来的な事業拡大を見据えている企業に適しています。

IP電話のセキュリティ対策

IP電話の導入を検討する上で、セキュリティは重要な懸念事項です。このセクションでは、IP電話における主要なセキュリティリスクと、それらに対する具体的な対策について解説します。特に、音声データの暗号化や不正アクセス対策に焦点を当て、読者が安心してIP電話を導入できるよう、IP電話のセキュリティに関する最新情報を盛り込みながら説明します。

暗号化と盗聴防止

IP電話はインターネット回線を通じて音声データをやり取りするため、盗聴のリスクが伴います。このリスクを軽減するために、音声データの暗号化は不可欠です。

最も一般的な暗号化技術の一つに「SRTP(Secure Real-time Transport Protocol)」があります。これは、音声や動画などのリアルタイム通信で利用されるRTP(Real-time Transport Protocol)を暗号化し、盗聴や改ざんから保護するプロトコルです。SRTPを利用することで、通話内容が第三者に傍受されたとしても、暗号化されているため内容を解読されることはありません。

また、VPN(Virtual Private Network)の利用も有効な対策です。VPNはインターネット上に仮想的な専用回線を構築し、通信経路全体を暗号化します。これにより、IP電話の通信がVPNトンネル内を通過する際に保護され、外部からの盗聴リスクを大幅に低減できます。特に、外出先やリモートワーク環境からのIP電話利用時には、VPNの活用が推奨されます。

不正アクセス対策

IP電話システムへの不正アクセスは、通話の乗っ取り、通話料の不正利用、情報漏洩など、深刻な被害をもたらす可能性があります。これらのリスクを防ぐためには、複数の対策を組み合わせることが重要です。

まず、SIPアカウントの認証強化が挙げられます。SIP(Session Initiation Protocol)はIP電話の通信制御を行うプロトコルであり、SIPアカウントが不正に利用されると、電話の乗っ取りや通話の悪用につながります。複雑なパスワードの設定や、多要素認証(MFA)の導入により、アカウントのセキュリティを強化しましょう。

次に、ファイアウォールによるアクセス制御も必須です。ファイアウォールは、外部からの不正なアクセスを遮断し、内部ネットワークを保護します。IP電話システムへのアクセスを許可するIPアドレスを限定するなど、厳格な設定を行うことで、不正な侵入を防ぐことができます。

さらに、定期的なパスワード変更や、システムの脆弱性に対するパッチ適用も欠かせません。最新のセキュリティ情報を常に確認し、システムのアップデートを怠らないことが、不正アクセスを防ぐ上で非常に重要です。不審なアクセスログがないか定期的に監視することも、早期発見と対策につながります。

IP電話導入時の注意点

IP電話の導入は多くのメリットをもたらしますが、同時にいくつかの注意点も存在します。このセクションでは、読者がIP電話の導入前に知っておくべき技術的なリスクや注意点に焦点を当て、安定した運用を実現するためのポイントを解説します。インターネット回線の品質、ルーターの設定、既存の電話機との互換性など、具体的な注意点を詳しく説明します。

インターネット回線の品質

IP電話の通話品質は、利用するインターネット回線の品質に大きく依存します。特に重要なのは、回線速度、帯域幅、そして安定性です。十分な速度と帯域幅が確保されていない場合、音声データの遅延や途切れが発生しやすくなります。また、回線が不安定でパケットロスが頻繁に発生すると、通話品質は著しく低下します。

安定した通話品質を維持するためには、QoS(Quality of Service)設定が可能なルーターの導入も検討しましょう。QoSを設定することで、音声データに優先的に帯域を割り当て、他のデータ通信の影響を受けにくくすることができます。

ルーターの設定

IP電話を安定して利用するためには、ルーターの適切な設定が不可欠です。特に注意すべきは、NAT(Network Address Translation)越え、ポートフォワーディング、そしてSIP ALG(Application Level Gateway)といった設定です。

NAT環境下では、IP電話が正常に外部サーバーと通信できない場合があります。この問題を解決するためには、特定のポートを開放するポートフォワーディング設定や、SIP通信を補助するSIP ALG機能の適切な設定(または無効化)が必要になることがあります。これらの設定が不適切だと、着信できない、通話が途切れるといった問題が発生する可能性があるため、専門知識を持つ業者に相談することをおすすめします。

既存の電話機との互換性

IP電話システムを導入する際、既存のアナログ電話機をそのまま利用できるかどうかは重要な検討ポイントです。既存のアナログ電話機をIP電話として利用するには、ATA(Analog Telephone Adapter)と呼ばれる専用機器が必要です。ATAはアナログ信号をデジタル信号に変換し、IPネットワーク経由で通話できるようにする役割を果たします。

しかし、IP電話機に切り替えることで、高音質通話(HD Voice)や、Web会議システムとの連携、プレゼンス機能(在席状況表示)など、IP電話ならではの高度な機能を利用できるようになります。導入コストと得られる機能のバランスを考慮し、既存電話機の活用か、IP電話機への切り替えかを慎重に検討しましょう。

IP電話導入のメリットを再確認

IP電話の仕組みや導入時の注意点を理解した上で、ここでは改めてIP電話がビジネスにもたらす具体的なメリットを再確認しましょう。コスト削減、柔軟な拡張性、多様な付加機能といった側面から、IP電話があなたのビジネスにどのような価値をもたらすのかを解説します。

コスト削減

IP電話を導入する最大のメリットの一つは、通信コストの大幅な削減です。従来の電話回線では、通話距離に応じた料金体系や高額な基本料金が発生していましたが、IP電話ではインターネット回線を利用するため、通話料金を大幅に抑えられます。特に、拠点間の通話や携帯電話への通話料金が削減されるケースが多く見られます。また、複数の回線を一元管理できるため、回線費用も効率化できます。初期の設備投資に関しても、クラウドPBXなどのサービスを利用すれば、高額なPBX(構内交換機)を自社で購入・設置する必要がなくなり、設備投資の抑制にも繋がります。

柔軟な拡張性

ビジネスの成長や変化に合わせて、電話システムも柔軟に対応できることは非常に重要です。IP電話は、従来の電話回線に比べて、内線の増設や拠点の追加が非常に容易です。インターネット環境さえあれば、新たな電話機を接続するだけで内線を追加でき、移転やレイアウト変更の際も配線工事の手間が軽減されます。また、リモートワークや外出先での業務が増える現代において、スマートフォンを内線電話として利用できるソフトフォン機能などは、場所を選ばない柔軟な働き方をサポートします。ビジネス規模の拡大や縮小にも迅速に対応できるため、将来を見据えた投資として非常に有効です。

多様な付加機能

IP電話システムは、単に通話ができるだけでなく、ビジネスを効率化するための多様な付加機能を提供します。例えば、重要な電話を逃さないためのボイスメール機能や、顧客対応の品質向上に役立つ通話録音機能は、多くの企業で重宝されています。また、Web会議システムとの連携により、電話会議からシームレスにビデオ会議へ移行できるなど、コミュニケーション手段を統合することも可能です。さらに、CRM(顧客関係管理)システムやSFA(営業支援システム)と連携するCTI(Computer Telephony Integration)機能を使えば、着信と同時に顧客情報を表示させたり、通話履歴を自動で記録したりできるため、顧客対応のスピードと質を飛躍的に向上させることができます。これらの機能は、業務効率化だけでなく、顧客満足度向上にも大きく貢献します。

まとめ

この記事では、IP電話の基本的な仕組みから、従来の電話回線との違い、そして導入における注意点やメリットまでを詳しく解説しました。IP電話は、音声をデジタルデータに変換し、インターネット回線を通じて送受信することで通話を可能にする革新的なシステムです。VoIPやSIPといった技術がその基盤を支え、ソフトフォン、IP電話対応ルーター、クラウドPBXなど多様な形式で利用されています。

従来の電話回線と比較すると、IP電話は回線費用や通話料の削減、柔軟な拡張性、そして多様な付加機能といった多くのメリットを提供します。しかし、インターネット回線の品質やルーターの設定、既存機器との互換性など、導入時にはいくつかの注意点も存在します。

IP電話の仕組みを正しく理解し、自社のビジネス環境やニーズに合わせて最適なシステムを選択することで、コスト削減と業務効率化を同時に実現することが可能です。この記事が、IP電話導入を検討されている皆様の一助となれば幸いです。